たたかわない生き方 大下容子
一所懸命、がむしゃらに働いていたら、
いつの間にか50歳を過ぎていました・・
と本書の冒頭に書いてありました。
私もいつの間にかという感じです。
テレビ朝日のアナウンサーである著者は
私と同年代です。落ち着いた雰囲気で
好感が持てる方だなと思っていました。
「たたかわない生き方」
というタイトルは、著者のイメージに合
っているなと感じました。
本書の中では、
争わず、流れに逆らわず、
とにかく目の前の一日、一瞬を生きる。
「他人と戦わな生き方」
とも表現していました。
何しろ争いごとが苦手で、
自分の中にあれこれ溜め込みがち。
言いたいことがあっても
摩擦を恐れて言えない日々は、
けっこう長く続いたそうです。
しかし番組のアシスタントMCから
メインMCになったときに、
やはり言うべきときには
きちんと伝えなければ。
言わないで察してくれ
というのは無理な話。
言わなきゃ、通じないと
変わっていったようです。
★無個性の個性のひとつ。
わりといろんな人に合わせられる、
なんでも受け入れられる性格。
「容子ちゃんはあまりこだわりがないか
ら、アナウンサーに向いているわね」
と言われたことがあったそうです。
人の話を聞いて伝える
アナウンサーや、
メインの方を引き立たせながら
進行を担うアシスタントMCは、
主義主張が強すぎる人には、
やや向いていないように思われます。
どんな花瓶にも入る「水のような人間」
が究極の目標のようです。
クネクネと曲がった個性的な花瓶、
スッキリとした筒のような花瓶、
水は変幻自在に姿を変え
その中に収まります。
サラリと花瓶に収まり、
そこに出演者という「花」をたてたい。
★同感したこと、参考になったこと。
慣れあわないように、
出演者と一定の距離を保ちたい。
長年の付き合いのある方、
最近の方も同じように接したい。
仕事でもプライベートでも
早めに移動する。
ちょっとしたゆとりが
仕事の質にも影響すると思っている。
生放送中はいつもあわてています。
落ち着かせたい時は、
「人に頼って一呼吸おく」
ことを心掛けている。
番組をやっていて
うれしいことのひとつは、
出演している方々が輝くこと。
私の役割は縁の下の力持ち。
「諦観」という言葉が
よく頭をよぎる。
執着から離れ、
ものごとの本質を見極めるという
前向きな意味でとらえている。
★感じたこと。
読んでいると
心が落ち着てくるような、
著者の人間性が表れている
ような文章でした。
おわり。