町工場の娘 主婦から社長になった2代目の10年戦争 諏訪貴子

主婦であった著者は町工場を突然引き継ぐことになった。

当たり前だが、それはとても大変なこと。引き継ぐだけ

ではなく、危機的状況の会社を立て直していくのが凄い

ところ。その10年間の活動の記録になっていました。

 

私は、「サラリーマンは300万円で小さな会社を買い

なさい」という本を読んだことがあります。町工場はい

ろんな問題を抱えているんだそうです。経営者が高齢化

している、跡継ぎ不在、経理や生産管理はどんぶり勘定、

経営不振、社員の教育不足などがある。大手企業は経営

に関わるシステムがすべて完備されている。サラリーマ

ンの経験をしっかり積んだ人ならば、300万円で町工場

を購入し、立て直すことができるという内容でした。

 

著者は大手企業サラリーマンの経験があります。しかも

引継ぐ町工場が危機的状況である。「サラリーマンは30

0万円で小さな会社を買いなさい」とまったく同じ状況

ではないか・・・サラリーマンが町工場を立て直してい

く本物のストーリーが読めると思い興味を持ちました。

 

著者はどうやって会社を立て直したか。

何が問題なのか?従業員は日常的に行っている業務だか

ら気が付かない。元サラリーマンで主婦である著者には

問題だらけに見えた。まず基本である挨拶が満足にでき

ていない・・

 

改善をしようと提案をしても、従業員は異質に感じるよ

うで拒絶反応を起こされる。なかなか受け入れてもらえ

ない。5分程度の小さな教育からスタートして少しづつ

意識改革を進めた。

 

生産管理は現場担当者が把握していた。担当者が不在に

なると何もわからなくなるといった問題があった。そこ

で生産管理を一括管理するためのPCソフトウェアを選択

し、生産管理システムを構築した。

 

会社を再生させるため「3年の改革」を実行した。

1年目「意識改革」で会社の土台を整える。

2年目「チャレンジ」世の中で良いとされること取込む。

3年目「維持・継続・発展」業務の進め方を標準化した。

3年目の活動が終わったころ、協力メーカーからの評判

が良くなった。

 

大手企業では当たり前のことであるが、町工場で標準化

まで取り組むところは少ない。サラリーマンの経験は役

に立つのがわかった。

 

参考になった仕事論をまとめました。

経営に関しては素人であったが、社長就任から10年で

ジリ貧の会社を立て直しながら身につけた、著者の思考

や行動スタイルがとても参考になりました。

 

社長になった頃は、なぜ周囲は理解してくれないのか悩

み、不満や鬱憤がたまるいっぽうであった。そんな著者

を救ったのが本で出合ったシェークスピアの言葉でした。

「世の中には幸も不幸もない。考え方次第だ。」

この一節で霧が晴れ、前向きになれたのだそうです。

 

「もうダメかもしれない」「無駄なのではないか・・」

このようなネガティブ思考こそムダと考えるようになっ

た。目標に到達するまでやり続けるなら、途中段階でう

まくいかなくても失敗ではない。成功のための過程でし

かない。「大変」「苦労」という感覚も、大変だなと感

じる基準次第であり、とらえ方で大きく変わる。

 

動け動けと自分にハッパをかけること。悩むのではなく

自ら動いて、調べる、見に行く、話を聞く、何かしらの

行動を起こすことを大切にしている。どんな場において

も、悔いのないよう「小さな勇気」を持って行動する。

 

職場で過ごす時間は長い。社員には職場での時間を楽し

く、気持ちよく、笑顔で過ごしてもらいたい。仕事中も

常に笑いを意識しているのだそうです。