庭仕事の神髄 スー・スチュアート・スミス

著者にとって庭仕事とは「やらなければならない面倒な

雑用のようなもの」であった。そんな著者であったが、

ガーデニング好きの夫と庭づくりの作業をするようにな

ってから、どんどんガーデニングの魅力にハマってしま

ったようです。

 

著者は精神科医の仕事をしています。その仕事は実体の

ない心の性質を主に相手にしており、病棟やクリニック

での仕事は屋内であった。ガーデニングは対照的に自分

の努力の成果を提供してくれ、屋外に引っ張り出してく

れる。ガーデニングは屋外で運動ができて、しかも没頭

できる。

 

庭づくりを始めてガーデニングにめざめ、自然と人間の

精神のつながりに気づきを得たようです。自然と接する

ことでゆっくりと人間は回復すると。

 

バイオフィリアという考え方があります。

バイオ(生物・自然・生命)+フィリア(愛着)からな

る造語で、「人には自然や生物とのつながりを求める本

能的な欲求がある」という概念です。ガーデニングは植

物と地球との間に形成される親密な関係を体験できるの

だそうです。

 

本書は園芸が持っている癒しの効果を、歴史、参考文献、

園芸療法などの交えて、庭仕事の深層を描きだしている。

 

庭仕事の効果をいくつかまとめました。

 

庭作業には花が咲く、実を収穫できるといった、わかり

やすい報酬がある。植物に水や肥料などを与えているが、

人も報酬を与えられている。

 

DIYや手芸といった手作業の趣味は非常に健康に良いが

ガーデニングの利点は延期できないこと。自然が相手な

ので、水やりや施肥といった作業は先延ばしにできない。

ほったらかしにできない。外で活動する目的とスケジュ

ールを与えてくれる。

 

庭仕事は繰り返しが多いタイプの活動で、没頭し集中で

きるフロー状態に入りやすい。セロトニン、ドーパミン、

エンドルフィン、といった脳内物質のレベルが上昇し同

時にBDNFのレベルも上がる。

 

運動は同様の脳内物質やBDNFの分泌を促進することが

良く知られる。ストレスを下げるには、室内のトレーニ

ングマシンより屋外の運動がさらに良い効果がある。

 

庭仕事から得た私個人の気づき。

 

以前の私はガーデニングにまったく興味はありませんで

した。なんとなく旅行先で買ってしまったキバナコスモ

スを、しかたなく庭に植えました。土を掘り返した時、

花が咲いた時、なんとも言えない高揚感や、癒しを感

じました。精神的に不安定な時期で、本能的に癒しを

求めていたのかもしれません。それ以来ガーデニング

にハマってしまいました。庭仕事は週末の楽しみです。

 

土と花から、人はどんな効果をうけるのかが本書に書い

てありました。土を掘り返した時に、濡れた土の匂いが

する。匂いは土壌のバクテリアでゲオスミンというよう

です。人を心地よい、穏やかな気持ちにする効果がある。

セロトニンの分泌レベルを向上させる効果もあるのだそ

うです。花が咲いている庭は、アルファー波のレベルを

上昇させるのだそうです。

 

まとめ

 

ページ数の多い本で、一気に読み進めるのは大変です。

目次で気になったところから読んでみるの良いと思う。

第1章の「始まり」は、著者のガーデニングに対する考

え方がわかりますので、最初に読んでみることをお勧め

します。

 

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