生き方 人間として一番大切なこと 稲盛和夫
利他心を持ちましょう。ギブの精神を持ちましょう。
そのような言葉を本でよく目にするようになりまし
た。素敵な考え方だなと思いつつ、ふとすると自分
事を優先し考えていることはありませんでしょうか。
私は利己心(自分事)と利他心を行き来しながら、
心が振り子のように揺れ、落ち着かない状態です。
これから生き方の指針、物事の判断基準、心の支え
として得れるものがあればと思い、本書を読んでみ
ました。
本書によると、「単純な原理原則が揺るぎない指針」
となるのだそうです。指針とは理念や思想であり哲
学です。才能があっても哲学が不足し、人格が未熟
であれば道を誤りやすくなります。
人格を「性格+哲学」という式で表現されています。
人生を歩む過程で、学び身につけていく哲学がとて
も大切であり、どのような哲学に基づいて人生を歩
むかで、その人の人格が決まってくるのです。
「リーダーは才よりも徳が求められる」
「徳」とは優れた人格、誠実さ、思いやりのある人
間のことを表現しています。つまり才能よりも優れ
た人格が求められます。リーダーに必要なのは1が
「人格」、2が「勇気」、3が「能力」なのだそう
です。
日常生活の労働に懸命に取り組むことと、座禅を組
んで精神統一を図ることの間に、本質的な差はない
と考えられています。日々の労働が修行であり、一
生懸命に取り組むことが、そのまま悟りにつががる
道と考えられています。
一生懸命働くこと、感謝の心を忘れないこと、善き
思い、正しい行いに努めること。素直な反省心でい
つも自分を律すること、日々の暮らしの中で心を磨
き、人格を高め続けること。このようなことを当た
り前のことを一生懸命行っていくことに、生きる意
義があるのです。
人生と仕事の結果は「能力×熱意×考え方」
「能力」=才能、知能、健康、運動神経
「熱意」=情熱、努力
「考え方」=生きる姿勢、哲学、理念、思想
結果は掛算で増えていきますが、「考え方」が間違
っていると、才能や熱意が悪い方向に使われること
になりマイナスの掛算になります。優秀な人が道を
誤ってしまうことと同じです。
「因果応報の法則」
善因は善果を生み、悪因は悪果を生む。原因と結果
をまっすぐに結びつける単純明快な掟のことです。
結果を焦らない。因果の帳尻はきちんと合う。因果
応報の法則は見えづらく、短期的には手ごたえがな
いことが多いです。ある思いや行いが結果として表
れてくるには、それ相応の時間がかかります。
長い目でみれば誠実で善行を惜しまない人物が、い
つまでも不遇にとどまることはないし、怠け者でい
い加減な生き方をしている人がずっと栄えているこ
とはありません。
仕事などで複雑な問題が発生することがあるが、ほ
とんど問題は紐解いていくと、単純なことが原因で
あるようです。ちょっとした判断の間違いが大きな
問題に膨れ上がるのだと思います。
本書を読んで、私は仕事や普段の生活の中で、自分
の事ばかり考えていないか。相手の事を想う利他心
はあるか。よく考えて日々人格を高めるよう努めて
いきたいと思いました。
本書は、仕事や生きることに対する意味の再確認や
心の中に揺るぎない芯を持ちたい方に、お勧めした
いと思います。
|