かもめのジョナサン リチャード・バック

本書は1970年代に世界的なベストセラーになり、「自

己啓発的な生き方」の象徴的な本とされていたようです。

 

主人公は一羽のカモメ、ジョナサンです。彼はカモメの

群れに属していましたが、いつも一人で飛ぶ練習をして

いる不思議なカモメでした。

 

普通のカモメが「食べ物を得るために飛ぶ」ことしか考

えないのに対し、ジョナサンは「もっと速く、もっと美

しく飛ぶ」ことそのものに喜びを見出します。

 

やらなくても生きられることに夢中になることは、趣味

世界に通じるものがあるなと感じました。それ自体が楽

しいし、飛ぶことを突き詰めることでこの先にどんな世

界があるのか見てみたい純粋な気持ちに共感しました。

 

翼があるから飛べる。

飛べるからそれを存分に楽しむ。

自分にできることを一生懸命に楽しむ。

 

我々人間も、自分にやれる範囲のことで何かを楽しむこ

と、夢中になることはとても大切だと感じました。ご飯

を食べるためだけに働く、その繰り返しだけじゃ人間は

悲しいですからね。

 

本書には写真家ラッセル・マンスンによるカモメの写真

がたくさん掲載されています。話を読みながら写真を見

ていると、とても可愛く見えてきます。話の途中に写真

があり、話の流れに合わせた写真を選んでいるように感

じました。

 

私は紙の本で読みましたが、kindleなどの電子書籍だ

と、写真がどのように見えるのかわかりません。もしか

したら紙の本の方がよいかもしれません。

 

ジョナサンは飛ぶ技術を磨くため、数えきれないほどの

失敗を繰り返しながら、過酷な練習を自分に課します。

そしてついに飛ぶことを極めます。とてつもない高い場

所から超高速で海に向かって降り、水面ギリギリで姿勢

を変えて水平飛行をし、また空に向かって上昇できるよ

うになりました。

 

のちにジョナサンはその場所から消えてしまいます。ジ

ョナサンいなくなった後、カモメの群れの中でジョナサ

ンは神話化されていきました。

 

ジョナサンを知っている先輩カモメに、若いカモメたち

が「ジョナサンのように飛ぶにはどうすれば良いのか」

という質問をするようになります。

 

若いカモメたちはその話を聞いた後、飛び方のマネをし

てみますが簡単に習得できるはずもありません。ジョナ

サンは特別な存在であり、平凡な私たちにはマネできな

いと諦めてしまい、元の生活に戻っていきます。

 

「自分には特別な才能がないから」と決めつけて努力を

継続するまえに諦めてしまいます。ジョナサンに才能が

あったかは誰にもわかりません。ジョナサンは神話化さ

れた故に特別な才能があったと、みんなは思ってしまう

のでしょう。

 

このような心理はとても良く理解できます。私自身も才

能がないからできないと感じることは多々あります。

やりたいことがあった場合、失敗をたくさん重ねながら

も継続することができれば、その先に見えてくるものが

あるだろうし、それなりの結果が得られると思っていま

す。

 

ある意味「継続できること自体が才能」かもしれせん。

 

短い小説なのであっというまに読めます。ジョナサンや

かわいいカモメたちの世界観を、ちょっとした時間で味

わってみてはいかがでしょうか。

 

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