GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 アダム・グラント
ギブしたらその見返りがあることを期待する。ギブ
&テイクが普通だと思います。本書のタイトルは与
える人こそ成功するとなっています。人に何かを教
えたり助けたりすることは気分の良いことです。し
かし余裕のない生活の中では、どうしても自分事を
優先してまいます。成功している人はどのようにし
て、与え続けているのか知りたいと思いました。
著者による人間の思考と行動は、下記の3タイプに
分類できるようです。
●ギバー(与える人)
●テイカー(受け取る人)
●マッチャー(バランスを取る人)
ギバーとテイカーは、正反対と言えばわかりやすい。
銀河系に例えるならば、テイカーはブラックホール
のように周囲の人々からエネルギーを吸い取る。自
分の利益を第一優先に考え行動するのだそうです。
ギバーは太陽のように、組織中にエネルギーを注入
する。他人の立場にたち、利益をみんなで得れるよ
うに行動します。
「与える人こそが成功する」というロジックは、現
象として起きるまでに非常に時間がかかる。人に与
えたことは、のちのち返ってくる。速効性や確実性
を求めている人はギバーになれないのだそうです。
成功するギバー、燃え尽きてしまうギバー
ギバーには燃え尽きる「自己犠牲」タイプが存在す
る。与える事にエネルギーを使い過ぎているせいで、
燃え尽きるのではない。困っている人を助けられな
い、成果を感じられないときに燃え尽きるようです。
成功するギバーは「他者指向性」をもっています。
他者指向性とはチームで仕事をするときに、自分の
手柄を心配するのではなく、みんなの幸せのために
高い成果を出します。
疲労しないよう相手のタイミングに応じてではなく、
自分のタイミングでまとめて与える。燃え尽きそう
になった場合、人に助けを求める。自分自身の幸せ
を守ることの大切さを理解している。
一人でやらない。その人を助けられるのは自分だけ
という思い込みを手放し、互いに助け合えるよう人
々を結びつけること。これが他者指向性のギバーが、
燃え尽きないための戦略のようです。
ギバーになるということは、「仕事とは、いったい
何のためにするのか」ということを、突きつめると
いうこと。「この人は頼りになる」、「役に立つ」
人にそう思われてはじめて「仕事」になります。
「ギブすること」は誰の中にもある本能、本性のよ
うです。ギバーとして生きることは、仕事で成果を
出すためだけではなく、人間としてもっとも幸せな
姿勢です。
成功するギバーになるために
交渉上手な販売員や、売上トップ営業マンはギバー
であることが多いのだそうです。
テイカーは強気なコミュニケーション法をとること
が多い。ギバーはその対極になる「ゆるいコミュニ
ケーション」をする。
強引な話し方はせず、不明な点があれば人に質問す
る。その答えにじっくり耳を傾ける。相手側の視点
を理解することに努める。説得で意見を押し付ける
のではく、質問することで、相手自身の意思で結論
を出してもらう。身につけるべきは、そのような質
問力なのだそうです。
弱点を隠さない。ギバーにとって有利な交渉術は、
「アドバイスを求めること」です。アドバイスを求
めること、助言を求めることで協力関係と情報の共
有がうながされ、もめがちな交渉を双方が得をする
取引に変える。人間はアドバイスを求められるのが
大好きなのです。
ギバーは相手に共感する、相手の視点で物事を見る
ため、自分自身の利益のために、交渉事をするのは
苦手な人もいる。ノーと言えない人もいる。いわゆ
る「いい人症候群」です。
自分自身の利益を守ることが、家族のため、友人の
ため、チームのため、要は他人にためであるならば、
ギバーは積極的に戦う気になり交渉事も、うまくや
ることができるようです。
ギバーの成功のイメージは「個人の業績+他人への
貢献度」です。ギブ&テイクは価値を交換すること
になりますが、ギバーは価値を交換するのではなく
ひたすら価値を増やすことを考えるのだそうです。
五分間の親切
本書の中に「五分間の親切」というルールを持って
行動する登場人物がいました。五分間もあればでき
る親切を誰にでも喜んでします。何か困っているこ
とはないかと聞くのだそうです。私はギバーになる
ために、この五分間の親切はぜひ取り入れてみたい
と思いました。
誰かのために、何かすることは、自分の成長につな
がります。関わったみんなが良くなっていく。それ
がギバーが成功する秘訣なのだと感じました。
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